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樋口健二講演会「釜ヶ崎から被ばく労働を考える」

大阪釜ヶ崎にて開催された、報道道写真家、樋口健二さんの講演会へ。
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樋口氏は1937年生まれ、四日市ぜんそくを始めとする公害問題や原子力発電所における被爆労働の実情を長年取材してこられた骨太なジャーナリスト。
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福島第一原発での事故は、現在も日々大量の放射性物質をダダ漏れにしている。その過酷事故の収束のめどすら全く立っていないというのに、そしらぬ顔で高浜の再稼働を進めるこの恐ろしい国。
「金儲け優先」で原発推進が行われる中で、“ボロ雑巾のように使い捨てにされる”被ばく労働者がいる。多くの国民の目に触れないところで、被爆に苦しんでいる人々の姿を追ってきたカメラマンのリアルなお話は、一人でも多くの方に聞いてほしい内容だった。

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「日本の原発は技術が高く安全」という刷り込みが行われており、オペレーションはコンピュータ制御、クリーンでハイテク、というイメージが流布しているが、実際には、人海戦術で危険な被ばく労働が行われてきた(今も)。
こんな防護服姿で、それでも危険すぎて一日数十分しか現場にいられないような過酷な環境で働く人たちがいることを、ほとんどの国民は知らない。そんな働き方の中で心身を蝕まれ、現場を離れてからも苦しみぬいて、無念の内に死に至った人たちがいることを。

出稼ぎに出ないと家族を養えない人々、リーマンショック後に激増した非正規労働者、そして原発立地の住民で、地元でほかの仕事に就けない人々が原発労働者として駆り出されている。その多くは元請けからの直接雇用ではなく、二次、三次…六次と下請け会社が存在し、安全管理がきちんと行われない、賃金のピンハネが行われる、など、劣悪な状況の中で、多くの労働者が搾取されている。

「被ばく労働者」として登録されている人々は約50万人いるが、原発の運転に伴う被ばく量の97%は、電力会社の社員ではなく、下請けの作業員が受けているとか。
わずか2時間半の作業で膝を被ばくし、それが原因で30年近く苦しみぬいて亡くなった方、浜岡原発で8年間定期点検などの作業に携わり、わずか29歳の若さで慢性骨髄性白血病で亡くなった方など、150人もの被ばく労働者を取材されてきたそう。

報われない苦しみにのたうちまわりながら、凄惨で無残な生を終えた人たちの代弁をするかのように、激しい怒りを秘めた語り口は、聞く者の内部に確実な変質をもたらす。
釜ヶ崎の小さな集会室は、150名もの人々で埋め尽くされ、みな身じろぎもせずに聞き入っていた。
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数値が改ざんされている、被ばく手帳。デジタルデータの時代の今なら、改ざんの跡形すら残らない。それってすごく怖くない?

この国には、一般に報道されることのない隠された悲劇がたくさん埋まっている。怒れる報道写真家は、「たかが写真。でも、写真だから伝わることがあり、それが世の中を動かすこともある」と語る。隠されているこのような真実を、たくさんの人が知ることが大切。
原発労働者が、ひとりもいなくなれば、原発の稼働はできない。ほかの仕事がないわけではない。というお話もあった。

樋口健二氏による過去の講演のようす
★20150704 UPLAN 樋口健二「原発被曝労働者の真実」 …ココ!
★20151220 UPLAN【前半・樋口健二×山本太郎】
 コラボトーク講演会『ニッポンの記憶の半減期』  …ココ!
★20151220 UPLAN【後半・樋口健二×アーサービナード】
 コラボトーク講演会『ニッポンの記憶の半減期』 …ココ!

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コメント

マスコミがマスゴミと化してる中でもこんな骨太なジャーナリストがいらっしゃることに感謝です。
そして、にゃみさん、ありがとうございます。

こんな姿で労働されてるとかと思うと背筋がぞっとする写真です。でも紛れもない現実。
こんな現状を知っても再稼働推進!と言えるのでしょうか?!
原発なんて百害あって一利なし!絶対反対です!!!

投稿: monaco | 2016年2月 8日 (月) 07:00

マスメディアがどれだけ信用ならないものか、現政権になってから本当に感じますね。
御用チャンネルも御用新聞もいらない。

自ら被ばくしながら、人々に伝えるべきことを自らの使命として取り組んでこられた姿勢、本当に尊敬します。

ちゃんとしたジャーナリストを待望することとともに、一般市民が本当のことを知る努力をずっと続けていかなくては…と思います。
そして協働すること、伝えていくこと、…ですよね。

投稿: にゃみ。 | 2016年2月 8日 (月) 07:19

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