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『「おこぼれ経済」という神話』

またまた経済学の本。じつは先日UPした『グローバリズムが世界を滅ぼす』より、Okoboreこちらを先に読んでいたのだけど…
“アホノミクス”なんてまやかし、大企業サマは知らないが、一般庶民にはなんの恩恵ももたらしていないし、そこらを見渡してみたところで経済の活性化なんて感じられない。
「おこぼれ経済」という古すぎる発想しかない現政権の政策がどうなのか、また、どうして“こうなってしまったのか”、を経済学の専門家がわかりやすく解説した一冊。
「トリクル」はダウンすることなく、現在、大企業の内部留保は過去最大になっている。
「大企業の成長」と「国民生活の向上」は少しも連動しないことの理由がよくわかる良書。

『「おこぼれ経済」という神話』
石川康宏 著
新日本出版社 刊
2014年6月 初版発行

コラム:企業の内部留保3年で69兆円増加、尻込み体質鮮明に…ココ!

極にゃみ的に響いた部分をバクバクっとまとめてみた。

 戦後の高度成長期から、低成長への転換期に大企業はリストラ・低賃金政策を進め、大企業は潤っても国民に“おこぼれ”は回ってこないしくみが作られていった。
「大企業が世界一活動しやすい」国を目指す現政権だが、その政策によって、非正規雇用が増え、ワーキングプアが巷に溢れ、国民生活は苦しくなるばかりだ。
 「グローバル競争に勝ち抜くため」と財界が政治への働きかけを強め、大企業が優遇された。そして「国民が広く負担を分かち合える」と消費税を増税したものの、ふたを開けてみると社会保障の充実に使われたのはそのわずか1割に過ぎず、実質的に法人税減税や軍事費の増大分に置き換えられた。

 第5章では、「自民党が描く近未来の日本社会」と題し、経済問題にとどまらず、同党が目指すこの国の近未来の社会像について、「新綱領」(2010年)と「日本国憲法改正草案」(2012年)から読み解く。
 これらの中では、現行の憲法9条による戦争放棄を「日本さえ平和であればよいとする卑小な姿勢」と意図的に解釈し、戦争ができる国を目指す。国民生活に関しては「自己責任」論に「家族責任」論も付け加え、公的支援を極力少なく、社会保障を縮小する方向性が示されている。
 改憲案では「天皇を戴く国家像」を明確化、「国防軍」の創設、「緊急事態」にはいわゆる“戒厳令”を敷くことができるように、と、まるで戦前回帰のような恐ろしいことが羅列されている。
 前文に「日本国民は、国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り」と、まるで徴兵制を思わせる一文があることもしっかり認識しておかねばならない。

 こんな危険な思想を掲げる政党に、この国のかじ取りを任せていていいのか。
「おこぼれ経済」というまやかしの神話にしがみつき、実効性のある政策を打ち出すことのできない政治のままでいいのか。
「エピローグ」で、著者はこれからの経済政策について述べている。

P150
 「構造改革」「新自由主義」「成長戦略」などは、もっぱらアメリカ型資本主義をお手本としての政策ですが、これとはタイプの違うEU型の資本主義に、日本社会はもっと注目すべきです。「資本主義といえばアメリカだ」というのは何を根拠にしての声でしょう。実態は「自由競争といえばアメリカ」「軍事力といえばアメリカ」ということではないでしょうか。
 さて新しい経済政策についてです。経済は何より人のくらしを支えるためのもの。この大前提に立って考えるとき、まず行われるべきは「おこぼれ経済」神話への決別です。「大企業が潤えば、いまに国民も潤う」という「おこぼれ経済」機能は、現実経済の中には存在していません。それだけでなく、むしろ両者は対立関係を深めるようになっています。ですから、「おこぼれ経済」論にもとづく経済政策では、国民生活はますます痛んでいくばかりです。
 では、これにかわって、どういう経済政策を考えていく必要があるでしょう。
 A それは「国民が潤ってこそ地域も企業も潤う」という、個人消費の拡充を土台にすえた国内経済の循環づくりです。日本のGDPの85~90%は国内消費に依拠しています。何よりここをしっかり固め、その上に海外市場への依存や海外生産による効果を上乗せしていくという発想が必要です。(略)
 B そのために行うべきことは、①最低賃金の引き上げ、同一労働同一賃金の原則の確立(非正規差別や性差別の撤廃)などにより、賃金の底上げを図ること、②労働者派遣法の改正などで、大量のワーキングプアを生み出す非正規雇用を減らし、正規雇用への転換をはかること、③国民生活を「自己責任」「家族責任」のみにまかせるのではなく、医療・介護・年金・子育てなど公的保証の拡充を推進していくこと、④個人消費をますます委縮させ、地域経済も国民経済も疲弊させる消費税増税は、いまからでも中止していくことなどです
 (略)

 C これらを実施する財源をどう確保していくかという問題ですが、その基本点は、①軍事費や無駄な大型公共事業費の削減を行うこと、②消費税を基幹税にするという現在の方針を転換し、戦後の「高度成長期」にもそうであったように法人税・所得税を税の中心に位置づけること、さらに税制全体に「応能負担」の原則を貫いて、法人税・所得税に所得再配分の機能をしっかりもたせていくこと、③これらの政策の結果として日本経済の成長が生み出す税収の自然増を活用していくことなどとなります。
 D さらに、日本経済のより長期の安定した発展(持続的発展)を考えるなら、①国内の雇用の半分以上を占める中小企業・業者への直接的な支援を抜本的に強化すること、②人間の生活の豊かさの源となる安全な食料の安定自給に向け、農林漁業をはっきり基幹産業と位置づけること、③電力を技術的に未完成で危険な原子力に依拠することをやめ、地産地消型の再生可能エネルギーを普及することで、安全かつ地球温暖化防止に貢献しうるエネルギーの自給率を高めること、④これらを推進するための土台として、科学・技術の基礎的研究を充実すること、などを考えていくことも必要です。
 これらはいずれも、政治の決断次第で、ただちに手をつけることができる問題ばかりです。
  (略)

新しい政治づくりを考える
 「おこぼれ経済」神話にもとづくのでない「新しい経済政策」の実行には、それを担う「新しい政治」づくりが不可欠です。私たち国民が、それをなし遂げる力を身につけなければ、どんな政策も「絵に描いた餅」でしかありません。この国の主権者である私たちが、政治の転換を「誰か任せ」にするのでなく、「自分たちでなんとかする」という気概を強めていかねばなりません。選挙で議員を選ぶだけの主権者ではなく、この国の未来を構想する力をもった、より主権者らしい主権者への成長が必要です。
(引用以上)

やはり、一人一人が、勉強していくしかない。ニガテでキライな分野も、がんばって学んでいかなければ。あれだけいろいろな分野のことを勉強して、舌鋒鋭い質問を繰り出す山本太郎議員ですら、寺子屋ゼミのときに「勉強ってニガテなんですけど、どうすればいいのですか」と、問うておられたが…

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