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『政府はもう嘘をつけない』

堤さんの新刊を読了。前作『政府は必ず嘘をつく』に続くSeifuhamou衝撃作。本作もとても重要な内容で、一人でも多くの方に読んでほしい一冊だ。

“今だけ、金だけ、自分だけ”。

金融とグローバル企業による支配が進行するアメリカと、その後追いをしているかのような日本。
「ファシズムはある日突然 空から振ってくる訳ではない」。

徐々に、多くの国民が気づかないうちに、いろんな変化が起きてはいないか?そんな気づきへの橋渡しをしてくれる。

『政府はもう嘘をつけない』
堤未果 著
角川新書 刊
2016年7月 初版発行

★『堤未果「政府はもう嘘をつけない」 ラジオ版 学問ノススメ』(youtube)…ココ!

例によって一部抜粋を交えつつ内容紹介。

第1章 金の流れで「アメリカ大統領選挙」が見える!

アメリカには、「カネ」で買えないものはないそうだ。
80年代のレーガノミクスで「大企業優遇主義」に舵を切り、規制緩和と法人税減税を進めた結果、一部の企業の巨大化と市場の寡占化がはじまった。
製造拠点は人件費の安い海外に、タックスヘイブンを通して合法的に租税回避して、膨大な利益を手にした。
彼らは、資本主義が正常に機能する条件である「競争原理」を逃れる抜け穴を発見。政治献金の上限が撤廃されて青天井となったアメリカでは、政治は「カネで買える投資商品」と化している。

以下抜粋。

P54
「政治は現在、非常に優良な『投資商品』ですよ。投資額が大きいほど、得られるリターンも大きい。『政策』を買ってしまうことで、法外な訴訟費用や減収リスクなども回避できますからね。
 もはやアメリカでは、カネで買えないものはありません。ロビイスト産業は今やいろいろな意味で、この国のトップ産業を支えているのです」


P91
 若い世代はとっくに気付いているのだ。
 米国の抱える真の病理が、個々の政策などでなく、それを束ねて飲み込んでゆく「政治とカネ」という構造そのものにあることに。
 誰もがアメリカンドリームを手にする機会があったはずのアメリカが、国家としての力を失い、超富裕層だけが潤う「株式会社国家」になってしまっていること。
 その根底に横たわる〈強欲資本主義の価値観〉は国境を越えて世界中に広がり、私たち日本人の暮らしにまで、静かに手を伸ばしてきている。
 トランプ氏の集会で、ちり紙のように消費される過激な言葉の中に、見え隠れする本質的なメッセージ。
 それは、「強欲な『1%』から、アメリカを取り戻す」という言葉だ。
 2016年のアメリカ大統領選挙について、日本国内の報道からはトランプの過激発言や、大統領に指名される〈アメリカの病理〉への批判、選挙そのものの結果を占う競馬レースのような解説ばかりが聞こえてくる。  だが本当に今見るべきは、トランプ、サンダース両者の掲げるこのスローガンが、初めて政党の壁を超え、多くの米国民に支持されている、その背景のほうだろう。
 なぜならそれは、過去数十年であらゆるものをビジネスに変え、法治国家の体を失ったアメリカ内部からの悲鳴だからだ。
 トランプ現象はこの国の「病理」などではなく、ゆがめられた国家を元に戻そうとする人々の強い意志を反映する、微かな「希望」に他ならない。
 そしてそれはアメリカ一国の話ではなく、同じものがいま、日本を含めた世界各地で、確実に芽吹き出している。  既に私たちの政治や社会にも、網の目のように入り込んできている1%のカネ。
 「強欲資本主義」という価値観をめぐるこの大統領選を資金の流れから追った時、同じように足元に火がついている私たち日本人に投げかけられる多くのヒントが、見えるだろうか?


第2章 日本に忍びよる「ファシズムの甘い香り」
「非常事態宣言」で、政府は巨大な力を手に入れる
P98
「知っていますか? アメリカではもう10年以上も、憲法機能が停止状態なんです」
(略)
 9・11でブッシュ元大統領は、それまでの【戦争】の定義を、2つの面から180度変えることに成功した。
 1つ目は、停戦までの「期限」が存在しないこと。
 2つ目は、世界中を戦場にできることだ。
 敵がテロリストの場合、国家間で停戦合意をするなどの明確な線引きがないため、政府は「テロ撲滅」を錦の御旗に、いつまでも戦争を続けることが可能になる。その結果、ウォール街と軍需関連産業は、半永久的に利益をもたらす「打ち出の小槌」を手に入れることになるが、実はテロと戦う政府もまた「巨大な権力」を手に入れるのだ。
「政府に巨大な権力を与える〈非常事態宣言〉は、近年最も危険なものの一つです」

 パリ在住の記者で、ドイツ系フランス人のルネ・シュライバーは言う。
「2015年パリで起きたテロ事件直後に、オランド大統領が発令した『非常事態宣言』には、憲法上の規定はありません。
 ですが、公の秩序への重大な脅威があると判断された時、一定期間警察権限を強化したり、公共機関の閉鎖やデモ・集会の許可取り消しや国民の移動の自由を制限することが可能になるのです」


P103
日本にも緊急事態条項を入れたがる人々
熊本地震の直後の記者会見で、菅官房長官が緊急時に政府の権限を拡大する「緊急事態条項」の必要性を強調。
これに対して、憲法学者の樋口陽一東京大学名誉教授をはじめとする〈立憲政治を取り戻す国民運動委員会〉は怒りの声明文を発表。
「熊本地震をきっかけに、憲法に〈緊急事態条項〉を導入しようとすることは、惨事便乗型全体主義だ。絶対に許されない」
さらに1週間後、櫻井よしこ氏ら早期の憲法改正を求めるグループが記者会見を開いて
「熊本地震で現行憲法が災害対応の妨げになった」として「緊急事態条項」の早急な設置を主張。
だが、日本にはすでに5つの災害対策法があり、充分に対応可能。

P107
 繰り返すようだが、フランスに「緊急事態法」が存在するように、日本にも緊急事態に備えた「災害対策基本法」がすでにある。
 自然災害のために、わざわざ憲法を改正する必要はないのだ。
「それにしてもこの99条第1項、これをヨーロッパの人々が見たら烈火のごとく怒り出すでしょうね」

(略)
「これは、1933年にナチスが成立させた【全権委任法】第1条の、『ドイツ国の法律は、憲法に規定されている手続き以外にドイツ政府によっても制定されうる」とほとんど同じ内容ですよ」
(ドイツ系フランス人ジャーナリストの発言)

第3章 違和感だらけの海外ニュースも「金の流れ」で腑に落ちる
P166
パリのテロで株価爆上げした軍需産業
 2015年11月13日。
 フランス・パリの7ヵ所で起きた同時多発テロは、130人の死者と350人以上の重軽傷者を出した。
 オランド大統領は即座に「国内非常事態宣言」を発動、同攻撃を「戦争行為」と表現し、15日にシリア領内の「イスラム国(ISIS)拠点へ、大規模空爆を開始する。
 こういう時は、大国のリーダーたちの動きも横並びで素早い。
 「テロとの戦い」を高らかにうたいながら、アメリカ、イギリス、ロシアなどの国々は相乗り軍事攻撃を実施した。
 事件の真相が明らかになる前に軍事介入するという、その《おかしな順番》が問題にすらならなかったのは、欧米の商業マスコミの大きな功績と言えるだろう。
 彼らは9・11や昨今起きた数々の事件と同様、今回もテロ実行犯たちが現場にしっかりと身分証明書(パスポート)を残したことや、テロのタイミングが公式攻撃演習時期とぴったり一致していたこと、いったい何故、重要情報を持っているだろうテロの犯人たちを逮捕せず殺害する必要があったのかなど、腑に落ちない真相は一切追求しなかったからだ。
 調査報道がうやむやにされる一方で、ISISというテロ集団の存在はメディアで繰り返し強調され、国内にはテロリストへの怒りと恐怖、そして戦争ムードが高まっていった。
 フランスの原子力空母「シャルル・ドゴール」から次々に戦闘機が出撃し、ネットの世論調査では、フランス国民の100%が空爆に賛成、うち58%は【強く支持する】と答えている。
 SNSにはこのテロ犠牲者に対する追悼をこめてフランスの国旗を貼りつける人が急増した。中でも大きな反響を呼んだのは、今回のテロで妻を亡くしたフランス人ジャーナリストのアントワーヌ・レリス氏がフェイスブックに掲載したメッセージだ。

「テロリストに憎しみという贈り物は与えない……与えるのは銃ではなく、紙やペン、音楽という武器だ」

 レリス氏の思いは共感を呼び、フェイスブックのページは20万回以上共有され、多くの市民派記者たちは、彼についていくつもの情感あふれる記事を書いた。
〈繰り返されるテロは、憎しみによって生み出される。この鎖を断ち切ることで、終わりなき殺戮のループから人々を解放しようではないか〉

 彼らは気づいていなかった。その「憎しみ」に、いまや値札がつけられていることに。

 その頃、株式市場では、レリス氏の記したものとは対極にある、【本物の武器】が、人々の興奮を最高潮に高めていた。
(略)

 急騰したのは、主要な軍需産業関連株だ。
 ボーイング社、レイセオン社、ジェネラル・ダイナミクス社など、自国政府に大きな影響力を持つ巨大企業がずらり。
 もちろん、平素からオランド大統領が親交を温め、フランス政府が27%もの株を所有する仏系のタレス・グループの株も垂直爆上げしたことは、言うまでもない。

「フランスはアメリカに次いで、〈テロとの戦い〉から恩恵を受けている国の一つでしょう」
(略)
 アメリカには〈軍需産業は、公共事業と同じだ〉なんていうブラックジョークがありますが、全国各地で仕事がない人々が狂暴化しているほど景気が悪い今のフランスで、数千人規模の失業者が救われたんですよ。
 まあ要は、状況をどの立場から見るかということでしょう」


P171
「アメリカ政府はパキスタンなどで、『テロリストを見つけ出して撲滅する』と言いながら無人機で人々を監視し、テロの疑いをかけた人物を空爆している。そして、その際に数えきれないほどの民間人が巻き込まれて死んでいることは、アメリカ国内では報道されない。
 だが、こうした行為がテロリスト側の募集チラシに使われ、テロは増殖し、それを口実に政府と癒着したマスコミが敵の存在をあおり、戦争が続いてゆく。
 こうして納税者のカネが、大手軍需産業に流れてゆく仕組みが出来ているんだ」


儲かりすぎてやめられない「テロとの戦い」
 グリーンウォルド氏の言うように「対テロ戦争予算」は莫大だ。
 米国・国防総省のデータによると、2014年8月から始まった「対ISIS措置」にかかった費用は2015年10月時点で5億ドル(約500億円)、一日あたり1100万ドル(約11億円)の税金が費やされている。
 一方、世界武器輸出ランキング4位であるフランス軍需産業の同年の武器受注額は、前年の倍額の160億ユーロ(約2兆円)と、こちらも中東テロ特需の恩恵では負けていない。緊急会見の席で、パリのテロ事件を「ISISによる戦争行為」と呼んだオランド大統領が、事件直前に自国軍によるシリア空爆を承認したことも、大国が世界に向かって「テロリストを許さない」と言いながら行う1万6000回超の空爆が、明らかな戦闘行為であることも、これらの国々の軍需予算を増額することへの障害には全くならなかった。
 アメリカ同様フランスでもまた、関連巨大企業をスポンサーに持つ大手マスコミが細心の注意を払い、国民に疑問を抱かせないようテロ現場の痛ましい映像や「対テロ防止措置」というソフトな表現でくるんでから、注意深く配信してくれるからだ。
 米国では中東危機委員会のスタンレー・ヘラ―会長が、「ISISのテロを止めるために米国民が出来る最大のことは、米国政府にサウジアラビアとの同盟や武器輸出を止めるよう要請することだ」と重要な指摘をしたが、大手マスコミは無論この発言を黙殺、オバマ大統領はトルコで開かれたG20の席で「対テロ戦争」への一致団結を速やかに呼びかけた。
 ISISを支援するサウジアラビア、カタール、トルコなどを通してテロリストの手に渡る武器はアメリカ製のみならず、武器輸出大国フランスからも支援国や武器商人を介して流れ、テロ勢力をますます強化し続けてゆく。

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第4章 「脳内世界地図」をアップデートせよ!
報道の自由度72位の日本で、真実を見抜く方法とは?

P226
(ピューリッツァー賞受賞記者リチャード・リード氏の発言)
日本滞在中記者クラブの排他性にうんざりしたという経験を語った後に、彼はこう言った。
「でも根本の原因は政府の圧力云々以前に、マスコミを優遇しすぎている〈日本独自のシステム〉のほうにあると思うね。テレビや新聞も民間企業だから、当然金の力に弱い。ジャーナリストが個人として活動するアメリカと違って、日本の大手マスコミ記者たちは会社の社員だろう?」
 そう、あまり知られていないが、日本の大手マスコミは今の仕組みから、巨大な恩恵を受けている。


P229
 大手マスコミへの信頼度が世界一高い私たち日本国民が、受け身でいることを止め、〈知る権利〉とは何か、報道の公共性やその価値を、それが株式会社化されていることの意味を、真剣に考えること。
 その上で今の仕組みを変えたいと切望する声が、大きな国民的うねりに発展した時、既存の仕組みとは違う、新しい道が開けるはずだ。


P238
「アイスランドの奇跡」をモデルにしよう!
 穏やかで有名だったアイスランドが、ミルトン・フリードマンを信奉するオッドソン首相によって「新自由主義」の洗礼を受けたのは、90年代のことだった。
 オッドソンが手始めに国内のさまざまな分野を民営化し値札をつけたが、それだけでは満足せず、金融規制を緩めると、アイスランドを世界中の金持ちのための「タックスヘイブン」に生まれ変わらせた。
《これなら資源のない小国でも、外国からの資金を集めて一気に経済を拡大できる》
 オッドソンの頭の中ではさらなる野望が膨らみ、金融分野は次々に自由化が進められてゆく。
 空っぽの数字が、国境を超えて瞬時に移動する。実体のない場所から利益が生み出され、カネがカネを生むという《金融工学》の魔力に、オッドソンもアイスランドの銀行も、熱に浮かされたようにのめり込んでいった。
 2004年に首相を辞めて中央銀行総裁に就任すると、オッドソンはさらに自由化を進め、アイスランドの銀行は6%という超高金利のネット預金「アイスセーブ」を筆頭に、ヨーロッパの投資家たちや外国企業から巨額の資金を集め始める。
 それを元手に株を買ったり、欧州の不動産投資に手を出して法外な利益を上げた結果、アイスランドの銀行はたった3年半で総資産をGDPの10倍に増やし、通貨であるクローナの価値は対ドルで60%上昇、不動産価格は3倍、株価は9倍に跳ね上がった。
 この金融バブルのおかげで、一般国民の平均世帯収入も3倍に拡大し、ついに2007年に、アイスランドは世界5番目の金持ち国にランク入りする。
 だが、金融素人のアイスランドを短期間で急成長させた《魔法》の裏には、ウォール街の猛者たちがいた。

(略)
 この時の世界的金融バブルは、仕掛ける側にいる彼らがどう転んでも損をしないよう、丹念に設計されていた。
 一方、こうした根拠のない煽りをすっかり信じこんだ預金者たちからの資金はますます集まり、舞い上がったアイスランドのエリート銀行家やトップ財界人、政府関係者たちは、プライベートジェットや金ぴかの豪邸で、宴が永遠に続くような錯覚を起こし、浮かれ騒いでいたのだった。
 だが、それから間もなくして、魔法は無残にとけ、アイスランドを地獄の底に突き落とすことになる。

(略)

P248
鍋とフライパン革命~マネーゲームの尻拭いを国民に押しつけるな!
 2009年1月。
 怒りを爆発させた約3000人(人口の1%)のアイスランド国民が、国会議事堂を取り囲んだ。
「一部の金持ちや目先の利益しか考えない政治家たちがやったマネーゲームの尻拭いで、なぜ私たちの医療費が削られるのか!」
「医療に市場原理を入れたり、セーフティネットを削るより、国民が健康で安心して働けるよう国がサポートするほうが、医療費も下がるし税収も上がるはずだ!」

 決して暴力的ではなく、それぞれの家のキッチンから持参した鍋やフライパンを大きな音で叩きながら、政府に責任を取るよう求め続けた彼らの静かな革命は雨の日も雪の日も延々と続けられた。そしてついに、政府のほうが白旗を上げるところまで追い詰めたのだった。ついに政治を動かした。

(略)
 公的資金による銀行救済は中止され、医療や年金、失業者のためのセーフティネットをカットするというIMFの「緊縮財政案」は拒否され、ホルデ前首相と大手3大銀行のCEOを含む約200人には、逮捕状が出されたのだ。
「銀行が大きすぎて潰せない?」
 アイスランド国民は、同時期にアメリカ政府が行った銀行救済政策を鼻で笑う。
「そんなのかまわない。潰したらいい」

 自己責任の新自由主義で破綻したら、その結果も自己責任でどうぞ、という訳だ。

 鍋とフライパン革命。
 それまでおとなしかった国民が立ち上がり声を上げたことで、アイスランドは医療費を切り捨てたギリシャとは真逆の政策を実行する。
 医療関連予算を大幅に増額したのだ。
 その結果、医師や看護師や医療従事者たちは元の職場に復帰し、経営のために患者の支払い能力をチェックする必要なく、医師として最良だと思える医療判断ができるようになった。国全体はまだ不況下で生活は楽ではなかったものの、医療費の心配がなくなったことは国民の心身にとって大きな支えとなる。「人間」に投資したことで労働力が回復し税収が増える一方で、重症化する前に病院にかかれることが医療費そのものを下げてゆく。
 医療費だけではない。

(略)
「人間は生活が苦しくても、頭の上に屋根があり、病気になっても治療が受けられる安心感があれば、未来に向かって頑張ろうという体力・気力が維持できるのです」

P254 (アイスランドのグンロイグソン首相のコメント)
「80年代に主流だった考え方は、〈市場原理〉に任せておけば政治も社会も経済もすべてうまくゆくというものでした。でもアイスランドを見ればわかるように、市場原理はそれが崩壊した時、民主的政治システムまでズタズタに破壊してしまう。

(略)
 経済市場のほうが民主主義よりも重要だなどと言われ始めたら、それは大変危険な領域に足を踏み入れてしまったサインなのです。
 自由市場や経済が余りにも大きくなりすぎて、私たちは皆大切なことを忘れてしまっている。
 ヨーロッパがこれまで生み出したもので、最も価値ある宝ものとは、〈自由市場システム〉などでは決してない、それは〈民主主義と人権〉の概念なのです」

(略)
 だが、アイスランドのこの革命は、欧米メディアで徹底的に無視された。
 リーマン・ショックで打撃を受けた国々の中で、唯一目覚ましい手法で危機を脱出し債務返済した上に、経済成長もしているアイスランド。
 いまだに苦境から抜けられない他国にとって、素晴らしい成功モデルになるはずのこの事例を、取り上げたテレビ番組は未だにひとつもない。


P261
 民主主義は面倒だ。政策決定プロセスにはいちいち手間がかかるし、健全に維持していくためには、まるで繊細な植物を枯らさないように、常に意識を向け、雑草や害虫を取り除いてやる必要がある。
 だが、そうやって手をかけて育てて咲かせた花は、マネーゲームでは決して手に入らない価値がある。
 それを次世代の子供たちに胸をはって手渡せる喜びと誇りは、大人にとっても何ものにも代えがたいだろう。


あとがき から
P297
 欲にのまれて道を踏み外す一方で、人類が進化の中で創り出したもう一つの財産、〈共同体〉や〈憲法〉〈民主主義〉〈すぐに結果がでなくても、時間をかけて育ててゆくことの喜び〉、そして私たち日本人が世界に誇る他者への優しさに満ちた〈おたがいさま〉の価値観。
 守るべき宝ものが、見えるだろうか。
 見えたらもう大丈夫、目の前の現実がどうであれ、未来は私たちが選ぶのだ。

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★『未来は私たちが選ぶ』堤未果 講演会@神戸…ココ!(2016年6月19日)

★堤未果さんの著作で、レビューを書いたもの
政府は必ず嘘をつく
沈みゆく大国アメリカ〈逃げ切れ!日本の医療〉
沈みゆく大国アメリカ
『報道が教えてくれないアメリカ弱者革命』
(株)貧困大国アメリカ
『社会の真実の見つけかた』
『もうひとつの核なき世界 真のCHANGEは日本が起こす』

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