『海炭市叙景』
1988年頃から断続的に発表されたもので、第1章は冬、第2章は春。各9つの短編が収められており、最終的には夏と秋も合わせ、全36編になるという構想だったそうだ。
が、ちょうど半分を書き上げたあと、1990年10月10日に作者が自死。結果的に未完となってしまった。26年前の今日。
物語の舞台は、作者の出身地である函館がモデルとなっているそう。
1章の「まだ若い廃墟」と言ったタイトルからもわかるように、さびれていく地方都市の悲哀のようなものが描かれている。
大都市への一極集中、地方都市の衰退というようなことを、人々の哀歓に絡めて表現しており、四半世紀前からすでにそういう部分に感じるものがあったということなのか、と改めて思う。
後半がどういう物語で綴られるはずだったのかが気になるところ。本篇で語られている主人公たちの、四半世紀後を夏と秋で書きつぐ、函館にゆかりのある作家さんがいればいいのに、と思う。
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