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『登山外来へようこそ』

日本人初の国際山岳医である、大城和恵医師による本。
Tozan_gairai循環器内科医として活躍しながら趣味で登山を続けるうちに、「山での遭難者を助けたい」という思いがつのり、山岳医療の世界へ。
日本人として初めて「UIAA(国際山岳連盟)/ICAR(国際山岳救助協議会)/ISMM(国際登山医学会)認定国際山岳医」の資格を取得。
現在は、勤務先の心臓血管センター大野病院で「登山外来」を設置、北海道警察山岳遭難救助隊のアドバイザーも務めておられる。
そんな大城医師が書いた、登山者に役立つ医療知識を綴った一冊。
登山者として知っておくべき知識をわかりやすく解説。お勧めです。

『登山外来へようこそ』
大城 和恵 著
株式会社KADOKAWA(角川新書) 刊
2016年8月 初版発行

参考サイト:

★山岳医療情報…ココ!
★一般社団法人日本登山医学会…ココ!
★内科医から飛び込んだ「山の医療」の道。
 「山の遭難を減らす」日本初国際山岳医の挑戦。…ココ!

少し抜粋。

第2章 山の中で自分を守るために ―登山者が知っておくべき基礎知識 から
P69
命を救うための三つの技術
 登山者に一番知っておいて欲しい命を救うための三つの技術があります。それは「止血」「気道確保」「低体温をふせぐ対策」です。
 出血をしているときは、とにかく患部をしっかり押さえるようにしてください。これまでは患部を心臓より高く持ち上げるように言われてきましたが、最近はその有効性はあまり評価されていません。とにかく患部をしっかり押さえることが大切です。
 出血量が多いときには二、三分押さえていても止まることはないので、二十分、三十分単位でしっかり押さえておく必要があります。手を離して血が出なくなるまで押さえるのが基本です。
 できるだけ他人の血には直接触らないよう、ガーゼなどを傷口にあてたうえでビニール手袋などをして患部を直接押さえるようにするのが理想です。
 傷口がえぐれている時には、ガーゼなどを傷口に詰め込んだうえから押さえつけます。血が出てこないか、自分の目で確認しながらしっかり圧迫してください。ガーゼをあててすぐに包帯を巻いてしまうと、十分な圧迫にならないうえ、止血状態を確認できません。
ビニール手袋がないときには、スーパーのレジ袋やジップロック(チャック付きナイロン袋)などを使っても構いません。滅菌した医療用具を持っている人はなかなかいないいので、そういうときには自分の持ち物の中でなるべく清潔なものを使います。大きく傷口が開いているのにガーゼがないようなときにはできるだけ清潔なタオルを詰め込んで、その上から押します。不衛生ではないかと思う人もいるかもしれませんが、菌などによる感染を恐れるよりもまずは止血です。とにかく出血は死に直結するものだからです。
 もうひとつ、死に直結するのが気道閉塞です。
 意識が朦朧としている人が仰向けに寝ていると、舌根が落ち込んで息ができなくなる場合があります。窒息死させないために、横向けに寝かせるようにしてください。すると嘔吐による窒息を防ぐのにも役立ちます。
 横向けに寝かせた人をおいて、少しその場を離れなければいけないときは、仰向けにもどらないよう背中にザックをあてがいます。
 ケガをすると、身体を動かさなくなるうえに出血部分に血流が集まることによって低体温症になりやすくなります。そのため、体を冷やさないように注意をする必要があります。体の下にシートを敷いて、地面から体温を奪われないようにすること、ツェルト(登山用簡易テント)で体を覆い雨風から守るようにします。寒がる前に処置を始めましょう。

大城医師によるサイトにもいろいろな役立つ知識が。コチラもお勧めです。
★登山外来の現場から…ココ!

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