『濃い味、うす味、街のあじ。』
2013年4月から毎日新聞夕刊に連載された人気コラムをまとめた一冊。大阪、神戸、京都など京阪神の37店を奈路道程さんのイラストと共に紹介。神戸新聞社からエルマガジン社へ、
そして『Meets Regional』を創ってこられた、“街場”に詳しい編集者ならではの視点をじっくりと“味わえる”。
『濃い味、うす味、街のあじ。』
江弘毅 著 奈路道程 画
140B 刊
2016年7月 初版発行
江さんと言えば、「おとな旅・神戸」で酒場巡りツアーをされていたこともあり、参加してみたいと思ってたりもしてたのだけど、タイミングが合わず未遂(パンフレットのイラストは本書と同じ奈路道程さん)。
本書には、極にゃみ的に懐かしいお店とかも紹介されている。
一昨年十三→中津ハシゴ酒で立ち寄った「いこい」とか、
昔懐かしい、(今はもうない)ぶらり横丁とか。
地元ながら、もうずいぶん久しく行ってないイタリア料理店とか。
ココのコラムを少し引用してみる。
「イタリアン」が広がるはるか前に、
六甲山の麓に生まれた「本場の邸宅」。
【アモーレ・アベーラ】宝塚・南口
P132
御影、岡本、芦屋川、夙川、仁川、宝塚南口……。
阪急沿線に代表される「阪神間」は郊外の住宅地だ。
といっても片側3車線の広いバイパス道路に貫かれるような郊外ではない。
クルマの郊外には沿線がない。家から目的地までダイレクトの移動だ。対して鉄道沿線の郊外は移動のプラットフォームとしての駅がある。沿線の駅にはおのおの固有の駅名があり、人はそれを意識する。
駅はそのエリアに住む人々の地元の「基点」であり、そこに人と人が織り成す日常のドラマがある。
(略)イタリア映画の1シーンみたいな空間で、地元客の友人はボンゴレのパスタとカネローニを注文した。メニューには「スパゲティ・アレ・ボンゴレ」「カンネローニ」と書かれていたのを記憶している。初めて食べたカネローニは、板状のパスタにミートソースを詰めて焼いた料理で、驚くほどうまかった。
それから10年後、「イタメシ」ブームが大阪を席巻。
(略)
外国料理といえば中華料理とフランス料理しかなかった時代に、この店で確かにイタリア料理の輪郭や体系を教えられた気がするのだが、数年ぶりに尋ねると、カネローニの無骨さやピザの厚さに、「こんなのありか」とびっくりしてしまう。だが宝塚南口周辺の郊外的な手触りとこの料理店とこの料理店は(ママ)何も変わっていない。変わったのは私の方である。
そうなんである。イマドキ風の洗練されたイタリアンとは、一線を画した料理なのである。それはそれで美味しいと思うけど、ココのが本場風なのか、日本のイタリアンなるものが変化していってるのか、それともココのが元々独特なのか。そこはわからないけど。
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