『本当は怖い自民党改憲草案』出版記念講演
『本当は怖い自民党改憲草案』
伊地知紀子・ 新ヶ江章友編
2017年8月 初版発行
法律文化社 刊
本はまだ読んでいないのだが…。
このトンデモな草案通りに改憲されたらいったいどうなるのか、ナショナリズム、戦争、権利と義務、教育、家族、貧困、などさまざまな視点から、さまざまな論者が書いている。
以下、極にゃみ的要約。走り書きのメモから起こしたので、ご本人の言い回しと違う言葉遣いだったり、発言意図を私が誤解している可能性がありますのであしからず。
最初にお話をされた大阪市立大学伊地知教授は、
「相互参照をしたわけでもないし、テーマを指定したわけでもないが、本書には、“自発的従属”という言葉がキーワードとしてよく出てくる。私たちはおかしいことにはおかしいと声を上げ、市民が黙っていないことを見せつけていく必要がある」という意味のことを述べられた。
5章を担当された弘川弁護士は、
「憲法というと自分には関係がないと思う人が多いが、じつは身の回りに関係することもある。24条は家族について書かれており、現憲法は明治以来の家制度を解体したもの。なのに、改憲案ではそれを復活させようとしている。家長をトップとする序列をつけ、“分をわきまえる”などの思想を植え込むことが戦時体制に移行し徴兵制を進めるために機能した。憲法を学ぶことが思想強制につながり、母親の手でわが子を国家の役に立つ駒に仕立てるようなことになりかねない。こんな卑怯なことは絶対に許せない」
4章を担当された大阪市立大学西垣准教授は、
「明治憲法では、個人の心を縛るものは“勅語”として分けていたものが、改憲草案ではごちゃまぜになっていて、グロテスク。5月3日に安倍首相は、高等教育の無償化について述べたが、改憲しなくても無償化はできるし、かつて世界に向けてやります、と明言しており、むしろしなければならないことを先送りにしているだけ。
「労働」についてのコラムを書かれた神戸大学岩佐准教授は、
「改憲草案の9条の部分は石破氏が担当しているのでこれは要注意。
また、小池氏は極右なのに、自民党の不満の受け皿と受け止められているのは恐ろしいこと。改憲勢力が次々に出てくる今の日本の状況はいったいどういうことか?
ナチスドイツの例では、ゲシュタポは、非常に少数だった。それがなぜ機能したのかと言えば、市民からの密告が多かったから。社会のルサンチマンが独裁体制を支える。根本的に、そのようなものを支持しようとする社会そのものを変えていく必要がある」
7章「国政」を担当された神戸女学院大学石川教授は、
「草案はとてもギクシャクしたもので、全体として非常に不整合。なぜこんなものが出てくるのか?
財界支配、対米従属、そして支配層の頭の中が戦前のまま。本気で戦うなら、社会の仕組みを勉強する必要がある」
コラム「社会運動」を大野氏と共同執筆された関西市民連合 塩田氏は
「個人の尊厳、国民主権、平和主義という憲法の3つの柱を壊そうとしているのがこの草案。当たり前すぎて意識していなかったこれらを、安倍政権の暴走で改めて大切なものとして気づかされた。
権利は、不断の努力で守っていかなければいけないもの。
連帯を壊し、対立を利用しようとしてくる動きに対しては、仲間の問題として共有し、地域で連帯の基盤を築いていくこと」
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