『茶色の朝』
洒落た絵本だが、恐ろしい本である。あるとき、茶色以外のペットは認めない、という理不尽な法律が施行される。飼い主は、驚き、悲しみながらも安楽死させる。そのうち… というお話。
それって、荒唐無稽だろうか?
「特定秘密保護法」、憲法9条の基本を無視した「集団的自衛権行使容認」、「武器輸出三原則」を覆す「防衛装備移転三原則」の制定、さらに「共謀罪」…。どれも、多くの国民が反対する中で、民主主義的とは言えない方法で採決された、まさに“荒唐無稽”なものだ。
平和国家の、民主主義国家の、根幹を崩そうとするアベ政権。「茶色の朝」は、この国にも、もうそこまで来ているではないか。
『茶色の朝』
フランク・パヴロフ 物語
藤本 一勇 訳
ヴィンセント・ギャロ 絵
高橋 哲哉 メッセージ
★哲学者・高橋哲哉さんのインタビュー
「“茶色の朝”を迎えたくなければ、思考停止をやめることです」…ココ!
いまこの国では、三毛猫を飼おうが白のプードルを飼おうが、もちろん自由だけれど、首相に近い“オトモダチ”だけが優遇されるような、まさに“ありえない”ことが連発している。ありえなさの種類が違うだけで、国家規模の“理不尽”がまかり通っている点では、かなり茶色度は高いと言わざるを得ない。
本書は、巻末に添えられた高橋哲哉氏のメッセージが読みごたえがある。ぜひご一読いただきたい。
ちなみに、「茶色」は、ヒトラーが率いたナチス党が初期に茶色(褐色)のシャツを着ていたことから、フランス人にとっては茶色brunはナチスを連想させる色で、さらにはファシズムや全体主義など、「極右」を連想させるものであるとか。
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