絵本『さらじいさん』と古伊万里の皿
先日、原画展でgetしてきた絵本。
骨董品の皿におやつを乗せて、食べようとした女の子が、皿の中の世界に入り込んで…という不思議な物語。
『さらじいさん』
はせがわはっち 作・絵
ブロンズ新社 刊
2017年3月 初版発行
くだんのお皿。はせがわ画伯のおじさんが京都祇園で骨董品店を営んでおられたときに、店に飾ってあって、印象的だったものがモデルになっているそう。三人の人物が描かれていて、そのうちの坊主頭の人が気になって仕方がなかったのだとか。
じつは、この絵柄は、よく使われるモチーフであるらしい。
原画展と同時開催で、心斎橋の古美術商「縁」が古伊万里の販売もされているのだが、その担当者さんのお話によると、この絵柄は「虎渓三笑」という『廬山記』に出てくる故事にちなむものだとか。
「虎渓」というのは、中国江西省九江県南方の渓谷の名前。晋の時代、中国における浄土教の始祖となった慧遠法師は、俗世間から離れて廬山に居を定めた。東林寺の麓にあたる、虎渓を境として山から出ないことを誓い、30年間それを守り続けてきた。
ところがある日、詩人の陶淵明と道教の大家・陸修静が訪ねて来て、“道”について大いに語り合い、見送りがてら歩きながら話していたところ、虎渓を越えてしまっていた。それに気づいた三人が大笑いした、というエピソードを描いたものだとか。
史実的には、この三人は時代が一致しないそうだが、東洋画の画題として人気があるらしい。
古伊万里の皿や茶碗を見ているうちに、雪花の柄の小皿を見つけた。収集癖はないのだが、絵柄に惹かれて一枚買ってしまった。今後、「虎渓三笑」柄のん、見つけたら買ってしまいそうやな…(もちろん、お高いのは無理だけど)
| 固定リンク
コメント