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『ひんやり氷の本』

諸事情で氷雪に関する雑学を調べていて、ふと手にした可愛い一冊。
Hinyari_kori_2 北海道大学で長年雪と氷の研究をされてきた元大学教授で、石狩の科学研究者グループ「サイエンスアイ」の代表者である、前野紀一北海道大学名誉教授が監修。
「氷っていったいナニ?」という素朴な疑問にわかりやすく答えながら、氷を使ったレシピや、調理に氷を活用する方法、美味しいかき氷の作り方なども解説。

『ひんやり氷の本』 
北海道大学名誉教授前野 紀一 監
池田書店 刊

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気温が氷点下になると、水の分子は両腕(プラス)を左右に、両脚(マイナス)を前後に広げて、上から下へ、だんだんつながっていく。コレが「凍結」という現象で、それぞれの水分子は、その性質上、正確に正四面体を形作りながらつながる。流動する水の状態だと、平均4.4個のほかの水分子に囲まれているのが、正確に4個に取り囲まれることになるので、液体のときより軽くなる。そして、ゆっくりと凍結すると、水分子同士でしかつながらないので、異物をどんどん外へ押し出していき、水だけが凍結して残るため、気泡などを含まない透明度の高い氷ができるというわけ。
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雪は、雲の中で成長するが、雲粒は小さいため過冷却水の状態になっていて、マイナス10℃以下でも凍らない。核となるものに、まわりの雲粒がいったん蒸発して水蒸気となって、昇華凝結してくっつく。雪の結晶が“まわりの雲粒を食べる”ようなかたちで、どんどんと水分子を吸収して成長していくが、このときの結晶形は六角形が基本となる。
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伝統的な製氷の現場も紹介されている。これは栃木県・日光の松月氷室の写真だが、かつて六甲山上でもこのような感じで製氷が行われていたのだろう。
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お酒を美味しくする「ウィスキーボール」の作り方も紹介されている。丸い氷は表面積が小さくとけにくいので、長持ちする。アイスピックを使って、1貫目の氷を16等分し、角から正四面体をそぎ落とすように、立方体の角を落としていく。14面体に近い形にして、さらに丸みを出していくのだそう(極にゃみ的には、性格的にできる気がしない)。

ほかにも、「チンダル像(透明な氷が日射をうけるなどしてとけるとき、表面からだけではなく氷の内部からもとけはじめ、雪の結晶にも似た2~3mm程度の六角形の水のかたまりができる。はじめてスケッチしたイギリス人研究者の名がつけられた)」の観察の仕方、氷と塩でジェラートを作る実験なども紹介されている。

全4編採録されているエッセイのひとつが、石川直樹さんによる「ヒマラヤの水づくり」。ローツェ遠征から戻ってこられた直後に書かれたもので、現地の登山活動中の水づくりについて書かれている。
高所では沸点が低いので、沸いたと思っても“地獄の釜のごとく”煮え立つまでひたすら待つのだそう。沸騰したと思ってから3分以上は我慢するそうだが、それでも異物がいろいろ入っていてたいへんな状態らしい。

白湯を飲むのはきわめて困難だが、それでも背に腹は替えられない。高山病で苦しむよりは、水を飲む苦しみのほうがまだ耐えられる。

 …そんなにすさまじい水なのか。日本の山でも、雪から水を作ると、けっこう衝撃的な水になることがある。残雪期はとくにそうで、鍋に黒い何かがべったりついたこともあるけど…

ほうじ茶のティーバッグによって、なるべく水そのものの味を意識しないようにしながら」でないと飲めないような水ができてしまったことはない。ヒマラヤおそるべし。

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ところで、今宵は月がとても大きくてきれいだった。明日が満月、寒月。
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夜のなぎさを少しお散歩。

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