図録「昭和天皇自然館」
今日で「平成」が終わるが、昨日の4月29日は「昭和の日」。
少し前、諸事情で“天皇家と森”というテーマで調べ物をしていて、神戸市の図書館で浜名湖花博の図録『昭和天皇自然館』という本を見つけた。
浜名湖花博「昭和天皇自然館」図録
平成16年4月8日 初版発行
小倉一夫 編纂
静岡国際園芸博覧会協会 刊
4月29日は昭和天皇の誕生日で、ご在位中は「天皇誕生日」の祝日であったが、崩御されたのち「みどりの日」となった(※後記)。陛下が植物を愛され、造詣が深かったから。「雑草と言う草はない」というお言葉が有名だ。
植物や海洋生物の研究に勤しまれた生物学者としての一面もお持ちで、とくにヒドロゾア・変形菌(粘菌)の研究では世界的にも注目されたとか。
2004年に開催された「浜名湖花博」で、昭和天皇御製の標本等生物学研究の成果を展示するパビリオン「昭和天皇自然館」が作られ、その図録が本書。ご幼少の頃から晩年に近いころまでの写真や標本などが収録されている。
「武蔵野の 草のさまざまわが庭の
土やはらげて おほしたてきつ」
皇居・吹上御苑の森は、かつてゴルフ場などがあったところを、昭和天皇の強いご意向により、元々武蔵野に自生していた植物を集めて、植生を復元したものだとか。希少種が発見されたり、大気汚染の指標となる植物があったりと、ビル群に覆われた東京の稀少なオアシスとなっているとのこと。
天皇制の是非はさておき、現在の天皇家の人々は、この国と世界の平和と安寧を祈る存在。極右に振り切れている現政権とは対極にあって、静かに祭祀を司ってきたこのご一家の、善なること・聖なることは、私でもわかる。極にゃみ的には決して右派ではないが、天皇さん、とくに戦没者や被災者に常に心を寄せて来られた平成天皇・皇后には親愛と尊敬を感じている。(天皇家がじつは護憲的であることは、改憲派にとっては皮肉だが事実だろう)
本書に収録されている昭和天皇の御製をもう少し。
「春なれや 桜を見むと堀のべに われは気にけり 人もきにけり」
「しほのひく 岩間藻のなか石のした 海牛をとる夏の日ざかり」
「母宮の ひろひたまへる まてばしひ 焼きていただけり秋のみそのに」
※2005年の祝日法改正により、2007年から4月29日は「昭和の日」となり、「みどりの日」は、「憲法記念日」と「こどもの日」の間である5月4日になった。これによって三連休が生まれた。
★参考「天皇家と森の歴史を尋ねる」
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