「味覚力」鍛えます?
人間の五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚 )のうち、視覚や聴覚は機能しているか検査が行われるし、問題があれば眼鏡や補聴器などで機能を補うが、それ以外は感じ取る力を測定もしないし、気にすることもあまりない。極にゃみ的には、嗅覚はけっこう敏感で「犬並み家の一族」を自称しているが、味覚は好みに左右されるものなので、優れているとか劣ってるとか判断できるものでもない。
が、その味覚を感じる力が、病気と密接に関わっている、というのが本書の趣旨。たとえば、「糖尿病になりそうな人は甘味を感じにくく、高血圧になりそうな人は塩味を感じにくい」らしい。(医学的なエビデンスがあるそうだ)
太っている人と痩せている人を比較すると、太っている人の方が甘味の感受性が低い。つまり、甘味や塩味を感じる力が鈍いと、必要以上に欲してしまい、糖尿病や高血圧を招いている可能性があるということらしい。たしかに、塩分や糖分が多すぎる食事をしている人よりは、薄味を好む人の方が健康的な感じはするよな。
本書によれば、「味覚は変えられる」「味覚力は鍛えられる」そうだ。薄味の料理に慣れれば、塩も砂糖もさほど使わなくても美味しく感じられるようになり、味がきちんとわかるようになる。無駄な調味料を減らせれば、体への負担も減って、病気を防ぐことが可能になる― ということらしい。
第1章「今、味覚力が衰えている!」では、まずジャンクフードの弊害が解説されている。
冒頭部分を少し引用する。
現代人と原始人が食生活に関して、何か言い合いをしているようだ。
現代人「安くておいしい食べ物が、すぐに手に入る時代になって、本当に現代は幸せだなぁ」
原始人「確かに便利な社会でうらやましい。でも、その代わり失ったものもあるだろう。電車とか車とかいうものに乗ることで歩く距離が短くなって、脚力が衰えたと聞いたぞ」
現代人「確かに便利になって失ってしまったものもあるだろうね。でも、食に関しても何か失ったかなぁ」
…著者による結論は、「安くて美味しい(と多くの人が感じる=よく売れる)」ものを生産するには、「調味料や添加物を大量に使う」ことになり、これらをたくさん使った「ジャンクフード」が多く出回ることで、健康を損なうだけでなく、味覚を鈍磨させているという。
近年の「濃い味」ブームはまさにそうで、どんどん濃い味に慣れていって、素材本来の美味しさがわからなくなっている人が増えているそうだ。
しかも、加工食品を主に食べている(偏った食生活)と、微量元素が不足して、亜鉛の欠乏による味覚障害が起きる可能性があるというから恐ろしい。
また、味覚には男女差があり、女性の方が味覚は鋭いそうだ。男性の方が「こってり濃い味」を好む人が多いのはそのせいかも?
家庭で、女性が調理を担当していて、男性が「味が薄い!」と文句を言う場合、気を付けた方がいいのかも(ってコトは、男性が調理担当していて、こってり味がデフォルトになっているご家庭は気を付けた方がいいのかも)。※性差もあるけど個人差も大きいと思う。
それから、老化が進むと味覚力が衰えるので、意識して鍛える必要があるそうだ。
「濃い味ブーム」「コクがもてはやされる」といった味のトレンドに振り回されず、素材本来の味わいが感じられるような食生活を意識することが大事だとか。
過労やストレスは味覚を鈍磨させて濃い味を嗜好させるので、そのようなときには気を付けること。
本書著者の前著『味博士のぜったい太らない食べ方―食べ方、食べ合わせを変えるだけ!きれいにやせる簡単ダイエット!』には、「味覚コントロールダイエット」について解説されているそうですよ。
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