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古代食「蘇(酥)」

牛乳が余っているとか。
新型コロナウィルスの拡散を止めるため、という理由で、どれほどの効果が見込めるかについて専門家の意見を聞くでもなく、首相の突然の思い付きで全国の学校が休校になった(そんなことより通勤ラッシュを止めろよ)。
給食の材料を納入していた業者さんの困惑は想像に難くないが、とくに賞味期限が短く、急に加工に回すことも困難な牛乳が余っている!酪農家さんたちが困っている!ということで、ネット民たちはこぞって牛乳消費に勤しんでいる。もちろん私もその一人。日ごろはあまり乳製品は摂らないようにしてるのだが…。
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牛乳1リットルを一気に使う。

『大般涅槃経』に、「譬如從牛出乳 從乳出酪 從酪出生蘇 從生蘇出熟蘇 從熟蘇出醍醐 醍醐最上(牛より乳を出し、乳より酪を出し、酪より生蘇を出し、熟蘇より醍醐を出す、醍醐は最上なり」)という記述がある。
乳製品には「五味」があり、「乳→酪→生酥→熟酥→醍醐」という順で加工が進む。生乳を発酵させて「酪」を作り、その酪をさらに加工するか、熱処理などによって「蘇」が作られる、というようなことらしい。
そして、「醍醐(サンスクリット:सर्पिर्मण्ड/sarpir-maṇḍa/サルピルマンダ)」とは世界最上級の美味であるとか。

乳製品と言えば日本では明治以降というイメージがあるが、じつは古代からの歴史があるそうだ(一般庶民の口には入らなかった?身分の高い貴族などごく一部のヒトだけが食べていたっぽくて、庶民が食べられるようになったのが明治以降…)。

『延喜式』によると、「蘇」は全国で作られており、諸国から朝廷に納められ、それを専門に管理する部署もあったらしい。
醍醐に関してはよくわからないのだが、「熱処理で作る蘇」なら、要は煮詰めるということのようで(なら、簡単やん?)、今回の牛乳余剰に伴って、ネット民の間でにわかに注目されるようになったのである。

★新型コロナ→牛乳余り→古代食「蘇」を作り始める令和のネット民「奈良時代かよ」…ココ!

さて、その「蘇」作りである。なるべく表面積の広い、焦げつかないタイプがよさげ。ということで、一番大きいフライパンとシリコンのスパチュラを使用。
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焦げ付かないようにつきっきりでなべ底から混ぜながら煮詰めていくと、水分が飛ぶに従って粘りが出てくる。そして、白からクリーム色になってくる。
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砂糖とバターを入れてもう少し煮詰めると「生キャラメル」になるのだが、今回はとりあえず「生蘇」?レベルで止めてみた。
冷まして切り分けると、チーズとも違う、なんとも言えない濃厚な味。信州のお土産で売ってる「ミルクケーキ」の甘くないバージョンみたい。
黒コショウとオリーブオイルをかければワインのつまみにいいとか、はちみつをかけて食べれば極上のスイーツだとか、食べ方についてもいろいろ話題になっているが、このまま食べても十分美味しい。これ、もー少し水分を飛ばして、塩か味噌で味付けをすると、行動食にもいいんじゃないか?(たぶんこのレベルの水分量では、あまり日持ちがしない)

ちなみに、京都山科にある「醍醐寺」の名はこの「醍醐」に因む。理源大師が霊験によって笠取山(醍醐山)に登ったところ、白髪の翁が現れ、落ち葉の下から湧き出た水を飲んで「ああ、醍醐味なるかな」と言った。そして密教を広めて衆生を救うように告げ、忽然と姿を消したとか。大師が湧水の場所に石を積み、閼伽井としたのが醍醐寺の始まりと伝わる。(と、40年前に京都で学生ガイドをしていた私は山科を通るとき、そういう説明をしていた)

また、国民の99%が飲んだことがあるという統計がある国民的飲料「カルピス」。
モンゴルで遊牧民に酸乳の作り方を教わり、健康によい効果があることから、製品化しようとした三島海雲が、「カルシウム」と、サンスクリットの「醍醐=sarpir-maṇḍa」or「熟酥=sarpis」を組み合わせたネーミングを考え、「サルピス」「カルピル」「カルピス」を候補に挙げた。当時の音楽界の第一人者であった山田耕筰に相談したところ、「カルピス」が最も響きが良いという意見で、「カルピス」に決まったというエピソードがある。
※『行きたい!企業ミュージアム』のお手伝いをしたときに、いろいろ調べましてん。

 が…、「蘇」を自分で作る日が来るとは、誠に思いもよらないことであった。

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