『老いる自分を許してあげる。』
“アン”さん、という謎のキュートなおばあさんがナビゲーター役となり、
「50歳からは、人間だけにある特別な時間」
「おばあさんになれるのは人間だけ」
老いを自覚してあせる主人公に、“老化とは何か”を語る。
…ゆるしてあげる、って言うより、「老いる」ことを肯定的にとらえる見方が面白かった。
自分が老いていくことをどうしても認めたくない人もいるし、なんとか抗おうとする「アンチエイジング」が流行ったり、それどころか大きなマーケットだったりするわけだけど、許すも許さないも、不可逆的にそれは進行していくものだろう… と、なかば他人事みたいな認識でいたけれど… まぁ正面からじっくり考えたこともなかった。
だが、
ちょびちょびと、じわじわと、けど着実に、それは進行していく。で、ある日何かのはずみで、自覚する。
「夕方になると、地形図のコンターラインがよく見えない」
「軽く飛び石で渡れてたようなところで、足が出ない」
山ヤ的にも、困ったことがいろいろありますねん……
それどころか、ここ数年
「何もないところでけつまづいて、リカバリできなくてそのままコケる」という、わりと困ったことが街中でも起きる。
じつは、10年くらい前に気づいてた。(あ!ちょうど50歳!)
自説として「人間の耐用年数って50年とちゃうかと思うねん」などと述べて、まわりの同世代に嫌がられてもきた。でも、そのにゃみ説、あながち間違いでもないようだ。(そういえば、その頃こんなの書いてた。オバサンが「漢」で、それは正義心とか公共心が高いからだと伊藤氏は書いてるが、それって共感力なのかも…)
バクっと要約。
〔寿命について〕
人類がサルから進化した600万年前の寿命は20年。そこから、600万年かけて、遺伝子プログラムを変えて寿命を延ばしてきた結果が今の長寿社会。
ただ、わずか100年前まで、寿命はほぼ50年で、日本でも平均寿命が50歳を超えたのは戦後のこと。(そうなの?)
なので、ここ100年の変化は、遺伝子の変化ではなく、栄養や衛生状態、医療などの環境によるものと推測されている。
〔老化について〕
老化は経年劣化ではなく、元々「老化」というプログラムが設定されているもの。
細胞を例にとると、細胞の核の中にある「テロメア」は、細胞分裂の度に短くなっていく。そのため、「命の回数券」とも呼ばれている。テロメアが短くなって限界が来ると、細胞分裂は終わり、「老化細胞」に変化する。
この「老化細胞」というもの、かなりたちが悪く、この細胞がまきちらすサイトカイン、ケモカイン、PAI-1などの物質がまわりの細胞に炎症を起こすことによって、老化が急激に進んだり、がん細胞が生まれたりする。しかも、通常の細胞には「アポトーシス」という、自死するプログラムが組み込まれているが、老化細胞は自殺しないため、どんどん体内に蓄積されていく。(コワい)
〔骨〕
老化が進むと、カルシウムの吸収力が低下して、骨がスカスカになっていく。
しかし、骨は刺激が与えられると、骨細胞が骨を作る指示を出すので、老化のスピードを遅くすることはできる。
逆に、動かないでじっとしていると、どんどん衰える。
★骨細胞に刺激を与える(=階段や坂を歩くなど)
★カルシウムとタンパク質を充分に摂取する
★ストレスをためない生活をする
〔筋肉〕
筋トレは年齢に関係なく有効。ただし、速筋だけを鍛えると障害が起きやすくなる。
遅筋もバランスよく鍛えることが大事。
〔脳〕
「年を取ると涙もろくなる」は、老化(劣化)ではなく、経験値が高くなっているせい。
老化によって感情のコントロールができなくなったのではなく、「アフェクティブエンパシー」=共感力が強くなっている
じつは赤ちゃんは、「どこまでが自分のカラダなのかキモチなのか」がわかっていない。
感情がまわりとつながっているため、近くでほかの赤ちゃんが泣き始めるとみんな泣き始める(コンティニューム)。成長とともにそれは消えていくが、年齢を重ね、さまざまな経験を積むと、再びまわりの感情とつながる人々が出てくる。感情でつながってしまい、ほっておけなくなる(危なっかしい子どもなどを見ると、知らない子でもほっておけない世話焼きおばさん=共感力が高い人)
脳の活動は、じつは若いときの方が低い。経験値が高まることにより、脳の中にはいろいろな記憶や知恵がとっちらかった状態で集積されており、活動レベルが高くなる。
が、“睡眠力”が低下(加齢とともに睡眠の質が落ちる)し、脳は過興奮によってとっちらかった部屋みたいな状態になっているため、見落としや不注意が増える。←それ!にゃみにゃみ。、まさにそれ!
★睡眠の質を高めるために、運動が重要
カラダをしっかりと動かすことによって、筋肉や骨の衰えを防ぎ(老化のスピードを落とす)、睡眠の質を高めて、なるべく脳を休ませる。
とりあえず山歩きをしっかりいたしましょう。 …って、ぜんぜん山に行く暇がない…orz
まだ興味深い内容があったので、後日続きを書くかも?
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