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『物乞う仏陀』

恐ろしい本を読んだ。骨折ステイホーム中に読もうと借りた一冊なのだが…
Monokoubudda

『物乞う仏陀』
石井光太 著
文芸春秋 刊
2005年10月 初版一刷発行

石井光太さんと言えば、悲惨な状況の人びとを取材して書く方だということはもちろん知っていたし、今までに何冊か作品を読んでもいるんだけど…

アジア諸国で、乞食をしながら生きている障碍者を訪ね歩いて書いた一冊。国によっていろいろな事情があるようなのだが…
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最終章のインドで、片腕や片足がなかったり、眼がつぶれていたり、顔面にひどい火傷痕がある物乞いと、マフィアが絡んでいるというハナシが恐ろしすぎてなかなか読み進めなかった。そして、なんとか読了した日、元々眠りの浅い私には、ノンレム睡眠はなかった… 

世界には悪夢のような現実がある。
赤ん坊の頃にアンダーグラウンドな組織にさらわれ、「レンタルチャイルド」にされる子どもたち。“いたいけで同情を引きやすい”レンタル適期が終わるとさらに過酷な運命が待っている…

肉体を人為的に壊され、当然まともな教育も受けられず、つまりは“ふつうに幸せな人生”を奪われて、一生搾取され続ける“作られた障碍者”が存在することだけでも、想像したくない悪夢だと思うのだが、搾取の構造が“再生産”しているということに、心底身震いした。DV加害者が、じつは子どもの頃にDV被害を受けていた、というようなこととは、また少し違うような気もする。

これほど絶望しか残らず、読後感が超絶悪い本は初めて(褒めてます)。

命がけの取材だったことはよくわかるけど、この世界には、ここまで不条理な人生を歩まされる人々がいるという現実を知ってしまったひとは、いったいどうしたらいいのか。さっぱりわからない。本当に困る。

★「僕を魔窟に向かわせたもの」2005.12.20インタビュー・対談
 ココ!

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