『免疫学者が語るパンデミックの「終わり」と、これからの世界』
「新型コロナウイルスのパンデミックとは何か」からはじまり、ヒトの免疫について、感染するとカラダの中の免疫機構はどうなるのか、ワクチンと免疫について、ウイルスからみるパンデミック… など、免疫の専門家ならではの視点で解説してある。
あまりじっくり読む時間がないので、かなり端折って斜め読みをしてしまったが…
極にゃみ的に気になった部分を要約すると
「ワクチンについて」
・ワクチンは感染を防ぐものではなく、重症化を防ぐもの
・一定の効果はあるが、半年程度で効果が減衰する
・ワクチン接種をいくら進めても、集団免疫状態を維持することは不可能
・一般的な副反応以外に、心筋炎などハイリスクな副反応が起きる可能性がある
確率的には10万人に一人程度だが、リスクはある。そのリスクとベネフィットを秤にかけて判断すべき
「マスクについて」
・マスク着用には効果がある
サージカルマスクや不織布マスクを、きちんとつければ感染リスクを減らせる
・同じ空間で過ごす人の大半がマスクをしていること、換気が適切に行われていることが重要
「弱毒化について」
・欧州各国でオミクロン株を結果的に「弱毒化した」のはワクチンのブースター接種。
2022年初頭のイギリス・フランスでは、オミクロン株の感染拡大が起きたが、ブースター接種が進んでいたため、アルファやデルタの時に比べて少ない重症患者、死者数に抑えられた。
これに対して、ワクチン接種率が低かったアメリカの州では、オミクロンの流行でデルタを超える死者を出してしまった。
「パンデミックは終わるのか」
・新型コロナウイルスの流行がなくなることはおそらくない。
だが、感染者数・重症化数が激増して医療を逼迫させる水準ではなく、それなりの日常生活が送れるレベル=「エンデミック」=「ただの風邪と言える状態」にやがては移行する?
それでも、時折「懸念される変異株」が現れて、深刻な事態を招く大流行が、複数の国で起きる可能性はある。
「べつの感染症が新たに出てくる可能性」もある。
今回の新型コロナウイルスは、武漢の海鮮市場で扱われていた野生動物からヒトに感染して広まった可能性が最も高いと考えられており、中国政府は2020年に「すべての野生動物の飼育や移動、販売を禁止」する措置を行った。
しかし、人為的な対策だけで動物からヒトへのウイルス感染を防ぐことはできないので、新たな感染症が発生したときに備えて、いち早く発見し、感染が拡大する前に徹底して検査を行い、隔離・治療が行える体制を整えておく必要がある。
ほら。検査、大事でしょ。なんでPCRを敵視するのか、この国は…
それはさておき、
このどうしようもない「パンデミックを飼いならす」ために必要なのは、医療崩壊を防ぐこと。
ワクチン接種によって、多くの人の重症化を防ぐことができれば、医療機関に負荷をかけずにすむ。
「高齢者」「基礎疾患のあるヒト」が感染リスクが高い“感染弱者”。
若い人、健康な人は関係ない、というのがオミクロンが主流になってからの共通認識?
けれど、ウイルスは進化を続ける。
同時に、すべてのヒトは少しずつ年老いる。
免疫弱者を「弱いからしょうがない」と見放すことは、「社会」がすることじゃない。
弱い人をみんなで支えていくのが「社会」の役割。今は強者であったとしても、明日も明後日も強者でいられるとは限らない。
弱肉強食を是とする新自由主義的な考え方って、社会というものの根源的な存在価値を毀損していると思う。
もひとつ、本書が指摘する「免疫弱者を取り残してはいけない理由」。
免疫不全疾患系の人が新型コロナウイルスに感染すると、ウイルスを体内から駆逐できず、症状が長引く可能性がある。
新たな変異株は、そういうところから発生する可能性がある、と。ココ大事なんでは…。
「年寄りは集団自決せよ」と同じで、「そんな奴は殺せ」って言いだしそうだけどね、今のヨノナカ… 恐ろし。
とりあえず、このどうしようもない「パンデミックを飼いならす」ために必要なのは、医療崩壊を防ぐこと。
ワクチン接種によって、多くの人の重症化を防ぐことができれば、医療機関に負荷をかけずにすむ。
というのが本書を読んで一番重要だと思ったこと。
避けようと思っていた個人的リスクを引き受けて、社会的ベネフィットを取るため、3回目以降スキップしていたワクチン接種をすることにしたのであった。ハイ。
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