『古の武術から学ぶ 老境との向き合い方』
古希を迎えた武の道の方は、老いるということをどういうふうに受け止めているのか。
まえがきから
人間が年を重ねた先にあるべき姿の一つは、「まだまだやりたいことがある」という心持ちと、「いつお迎えが来ても応じられる」という心持ちを、同時に持ち合わせることではないでしょうか。
(中略)
「まだまだやりたいことはある」と積極的な思いを持ちつつも、同時にいつお呼びがかかっても「あとはよろしく」と後進に託していける。それを両立できるように自分を育てていくことが「年を重ねる」ということだと私は思うようになりました。
年齢を重ねると、どんな人でも身体機能は衰えていく。身体的に最も高い状態なのは10代後半で、衰え方の差はあるにしても、その後はどんどん減衰していく。最大筋力、敏捷性、持久力、防衛体力も含め、あらゆる体力が低下していく。視力や聴力も、なんなら味覚だって鈍麻していく。
ただ、スポーツを例に取れば、選手としてマックスの能力を発揮できるのは、競技にもよるが、決して10代後半ではない。
野球なら、アラフォーになっても高い能力を維持している選手もけっこういる。
単純に、「ダンベルを挙げる」とかなら、筋力とイコールかもしれないけれど、「巧みさ」は鍛錬次第で高めていくことができるし、相手がいて成立する競技などの場合はメンタルの影響も大きいので、熟練が強みになる。
本書の著者は武術の研究者なので、主に武術のことが書かれているのだが、30代の自分が今の自分(72歳)の技を目にしたら、一晩中寝られなくなるほど興奮するだろうと述べている。
また、40代、50代でできなかったことができるようになっていて、それは「我ならざる我」の力を引き出せるようになったことなのだそう。
表層意識とはべつの、自分でもまったく意識していない裏の意識?が身体統御を行うと、対戦している相手は、「表」の気配しか察知できないから、対応ができない… ということらしい。(ちょっと違うかもしれないけど、サードマン現象もそんな感じ?)
一般人が簡単にそういう境地になれるとは思えないけど、ヒモトレのこととか、受け身のこととか、ふつーのヒトが日常生活に取り入れられる身体に関するtipsも盛り込まれていて、「身体」というものを意識するために役立つ内容になっていると思う。
ナニゲに調べてみたら、2014年頃、極にゃみ的にこのセンセがすごく気になってたみたいで、めっちゃご著書を読んだり、講演会に行ったりしてる… まぁ釈センセとか、ウチダ先生あたりからの芋づる流れ(2012年に読んだ『現代霊性論』)な気もするけど…
『古武術に学ぶ身体操法』
『「筋肉」よりも「骨」を使え!』
『驚くほど日常生活を楽にする 武術&身体術』
講演会
『武術に学ぶ ~心と身体の再発見~』
『甲野善紀氏×釈徹宗氏対談』
『仏道と武道 ~信じると演じる~』
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