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富士山が噴火したら…?

諸事情にて、ここんとこ火山関係の書籍をいろいろ読んでる。
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2014年9月の御嶽山噴火のあと、一般向けに火山リスクを解説する本がたくさん書かれたようだ。

書いている人の立場もいろいろで、火山学者もいれば、地球物理学の専門家、防災の専門家…

極にゃみ的には、どの専門分野が一番噴火リスクを語るのに適当(?)なのかもよくわからんレベルの知識しか持ち合わせていないので、諸説があるなぁと広く浅くザッピングする方向で斜め読みしてる。

正しく恐れよ! 富士山大噴火
 藤井敏嗣 著
 徳間書店 刊
 2015年12月 初版発行

この本は、富士山が噴火する可能性についてと、噴火したらどうなるのかを解説した一冊。

・地球上で、“超巨大噴火(カルデラ噴火”は、平均すると6000年に一度くらいの割で起きている。最後の超巨大噴火「鬼界カルデラ」からすでに7300年経っている。

・富士山について。
 30万年前頃、今の富士山があるあたりで、箱根山、愛鷹山、小御岳山の3つの火山活動が活発化した。
 10万年前頃、愛鷹山、小御岳山は活動を休止し、富士山が活動を開始。
 富士山の成長は目を見張るほど(?)で、わずか数万年の間に小御岳山よりも大きくなった。
 ただ、火山は崩れやすいため、たびたび山体崩壊を起こしていた。
 富士山が今のような姿になったのは約1万年前。山体崩壊や岩屑なだれによる堆積物がゆるやかなすそ野を形成し、富士山特有の粘り気の少ない玄武岩質の溶岩流が薄く覆っていった。

・山頂火口からの噴火は2200年前が最後。
 激しく爆発的な噴火だったため、大量の噴出物が出て、山頂付近が急峻で、裾野に向かってゆるやかな現在の形が作られた。

・それ以降は山腹に新たな火口が開いて噴火を起こすパターンが続いている。

・文献が残っている6世紀以降、確実なもので10回の噴火が起きている。(規模の小さな噴火は記録されていないかもしれない)

・歴史時代でとくに大きな噴火が「貞観噴火」で、864年(貞観6年)6月中旬、富士山北西麓の一合目から二合目付近にかけて割れ目ができて噴火が起きた。二か月以上に渡って溶岩があふれ出し、そのとき形成された溶岩台地の上に形成されたのが青木ヶ原樹海。

・有史以来最大規模、かつ最後の大噴火が江戸時代の「宝永噴火」。
 南東側の山腹五合目付近から噴火し、噴煙は2万メートルにも及んだ。
 上空で偏西風に流された火山灰は、約2時間で江戸市中まで達した。10日以上に渡って降灰が続いたが、初日だけでも場所によっては6~9センチも積もった。

長く活動を休止している富士山は、いつ噴火してもおかしくないし、巨大噴火となるかもしれない。
近い将来、高い確率で起きるとされている南海トラフ・東南海トラフの巨大地震が、噴火を誘発する可能性もある。

噴火すると、火口の位置と風向きなどにもよるが、降灰は山麓周辺のみならず、都心部に達する可能性は高い。
わずか数センチの降灰でも、高速道路は走れなくなり、鉄道も止まり、飛行機も飛べない。電線に灰が付着して停電するかもしれない。
精密機器が灰の影響を受けてたら、あらゆるものがストップする。高度に発達した現代の都市機能は、自然災害には非常に弱い。

現在、日本に111ある活火山(過去およそ1万年以内に噴火した、あるいは、現在噴気活動が活発な火山で、気象庁が認定したもの)のうち、とくに注意が必要な「常時観測火山」は50山。噴火の前兆となるかもしれない「低周波地震」「山体膨張」「火山性微動」を観測している。

“噴火の予知”がどのくらい可能なのかはよくわかんないけど(前兆がほとんどなく、突然噴火することはないのだろうか)、「火山が噴火する確率」というのは、人間の人生に起きるいろんなできごとと比べると、天文学的な違いがあって、そうそう起きることではない。
国の防災部門的には楽観していい状況ではないけれど、火山の近くに住んでいるわけでもない人が、ことさらに恐れることでもない。
…というのが、数冊を読んでの感想。もちろん、できることはやっておいた方がいいけど(おい!政府!オメーだよ!)。

登山に関してはまた別のエントリで書くかな?(オシゴト終わったら…)

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