『たぶん私たち一生最強』
『たぶん私たち一生最強』
小林早代子 著
新潮社 刊
2024年7月 初版発行
小林早代子さんは、平成生まれでアラサーの作家さん。
「女による女のためのR-18文学賞」を受賞した第一作は『くたばれ地下アイドル』。そちらは読んでいないのだが、女による女のためのR-18って…?
高校の同級生であるヒロイン4人組が26歳のときからストーリーが始まる本書。そのビミョーな年齢の女性(太古、25歳で“行き遅れ”と言われた時代があった)の「性(セックス・セクシュアリティ・ジェンダー)」をいろんな方面から描き込んでいて、ちょうどコロナ隔離の頃だったようで、そういうネタとかも盛り込まれていて、とても面白かった。
「もうさー女友達と一生暮らしたいんだよね最近は!」
ハイボール(濃いめ)をガンガン飲みながらくだをまいてる彼女は、10年つきあったカレシと別れて半年経つのにまだ引きずってる。
「どうせどの男ともいずれはセックスなんかしなくなって友達みたいになるんだよ。だったら長年培った友情のもと女の子と家族になった方が良くない?」
「女同士で子どもがつくれりゃあそれでもいいんだけどねー」
(「子ども」は「家族」の「必須要素」なんだろか?)
なんだかんだ逡巡したり、試行錯誤したりしながらも、結局4人はルームシェアをはじめ、いつまで続くんだろ?と思いながら、やがて4人で子育てを始める。
「ガールズトーク小説」という評もあるが、彼女たちの会話がホントに面白い。そして、この紙面…。
文字の密度とゆーか、改行の少なさ、ハンパない。
まだ20代で結婚もしてないのにセックスレス、しかも浮気されてたとか、
マッチングアプリを使っていろんな男を物色したりとか、
アダルトグッズのお店に四人で買い物に行ったりとか、
男性パートナーと暮らしている知人男性を精子ドナーにして妊活したりとか、
なかなかに赤裸々なストーリー展開なんだけど、
恋愛と友情とは?
家族とは?
血縁とは?
いろんな、とても大事なんだけど多くの人が漠然と流してることをテーマにしてて、ホント興味が尽きない。
そして…
最終章が「女と女と女と女」。
最後まで面白かった。
ところで、
本書とは直接的には関係ないんだけど、
現状、世の中の一定数のオトコどもは、女たちが女だけで結託してナニカするのをとても嫌う。
(ような気がする)
ミソジニーなヤツラはだいたいそんな感じにみえるんだけど、
彼らはオトコなしでオンナの人生が成り立つってコトが許せないみたい。
「やっぱり男の人がいないとダメなのぉ」というような女であってほしいと意識の底の方で思っている。
「女はやっぱりアカンなぁ。しゃーない、手助けしたろか」って感じでたぶん自己肯定感とか承認欲求とかを満たしてきた。
そーゆー系の人々は、女同士で完結していることが気に喰わないらしい。
けど、確固たる自己があって、自己肯定できる系のオトコのヒトは、そうはなってないように思える。
配偶者やパートナーが女同士でわちゃわちゃしてるのを、許容するし、そこへ介入しようとはしない。
オットを残置して、ガンガン山へ行ってる人たち、だいたいそうだよねぇ。
最近でこそ、ソロ山行の女性が増えたから、もうそんなことを言われることもないと思うけど、
ずーっと昔(ワタシがワカイオンナだった頃)は、一人でメジャールートじゃないところを歩いてたら、
「女の子がひとりでこんなとこ… 危ないで」とかってよく言われた。
面と向かって言われなくても、すれ違った後に
「こんなとこを一人で歩いてるなんて… 危ないやんな」などとささやきあってるのが聞こえたこともある。
ナニがアブナイんですか?
素行の悪い男性が存在するかもしれないってコトがアブナイだけじゃないですか?
山のリスクに、男女は関係なくないですか?
平均的な体力が男女で違うことはわかってるけど、んじゃワタシとアナタと、山でどっちが強いかわかります?
チビでオンナのワタシの方が圧倒的に弱いんですかね?
体力も体格もワタシよりはるかに勝ってるオトコのアナタたち、ソロでバリを攻める根性あります?
まぁそういう価値観のヒトたちは、すでに過去の遺物と化してきてるんだろうとは思うけど、本書を読んで、「女だけで完結してナニカをなしとげてる」ことが極にゃみ的にとても爽快に感じられるのは、そういうコトなんじゃなかろうかと。作者がナニを考えてこの作品を書いたのかは、知らんけど。
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