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発酵フェチ系お題「麹VS枯草菌」

休日に都会に行くのはヤなんだけど、梅田阪神百貨店の「食祭テラス」へ。
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最近『日本人の発酵史』を刊行された小倉ヒラク氏(手前の白ハット)がプロデュースする、発酵食品関連イベントの一環で、めちゃめちゃ気になるトークショーがあったのだ。

ハッピー太郎醸造所さん(左)、「らくだ坂納豆工房」いとがー先生(その右の白服)が登壇し、「麹vs納豆菌」という、とてつもないお題でトークを展開するという。予定が空いてたらそりゃ行くよね。

酒造りで重要なのは麹菌なんだけど、枯草菌(納豆菌)は天敵のような存在。酒を醸してるところに枯草菌が入り込むと、腐造の原因になるから、蔵人にとって納豆は完全NGというのが常識。が、登壇のふたりは今回、そのタブーに挑戦してみたという。

もやし屋(麹屋)のハッピー太郎さんが仕込んだ米麴を、らくだ坂の納豆発酵室で醸してみたらしい。
(なんでまたわざわざそんなコトを…笑)
そして、昨日らくだ坂の発酵室から出された麹を実際に持ってこられていた。

みんなで匂いを嗅いでみたけど、納豆臭がする、というヒトは一人もいなかった。もちろん極にゃみ的にもまったくわからなかった。どうやら、麹菌が枯草菌を寄せ付けずに、無事米麹になったみたい。枯草菌に囲まれても打ち勝つ麹菌ってあるんだ…

で、いとがー先生からは、納豆と麹が合わさった不思議なモノの試食を。
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「失敗した納豆」を原料に作った味噌(左)、定番商品の「納豆の塩辛」(下)、「失敗した納豆」の塩漬け(右)。

塩辛は、数か月に一回くらいしか作られない上、人気が高すぎてなかなか買えないレアアイテム。極にゃみ的にはもちろん何度か食べてるけど、納豆を麹と合わせるアイデアはべつにいとがー先生のオリジナルじゃない。米沢で買った雪割納豆もそうだけど、東北あたりにはわりとあると思う。

高野秀行さんの本を見てると、世界的に見ても、納豆(とか、納豆のようなもの)を作ってる民族はたくさんいるらしく、アジアでもアフリカでもあるそう。ただ、日本の一般的な納豆のような、強く糸を引くタイプは主流ではないらしく、生で食べることも珍しいとか。
冷蔵技術が普及してない時代には、保存のため、塩漬けにしたり、乾燥させたりする必要があり、粘らない方が都合がよかったらしい。

ところで、日本では、江戸期くらいから現在につながる酒造りの技術が確立して、酒造りにおいては麹ファーストで厳密な管理が行われるようになったとか。納豆のほかにも、腐造や火落ちの原因となる乳酸菌も脅威だったそう。

でも、どちらもフツーに空気中に存在するものだし、「納豆を食べない」ことを徹底したところで、酒の原料の米、精米前の玄米には枯草菌はついてるワケで…
麹菌も酵母も乳酸菌も、そして枯草菌も、フツーにコンタミしてるのがこの世界。微生物の世界はホントに奥が深いし、発酵をうまく利用してきた祖先たちの功績はホントにすごい。
現代人は、過去の歴史を照らして考えると、自分たちが一番「進化」した存在で、昔の人は「科学的な知識がない劣った存在」と思いがちだけど、まったく違うよね。

今回のイベントの首謀者、小倉ヒラクさんの本を三冊も買ってしまった。
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さすが百貨店は上品(?)。文庫本をこんな紙袋に入れてくれるとは…w

一冊のまえがきで、玄界灘で漁師をしていた祖父のことに触れ、「自分にはただの水のカタマリにしか見えない海から、祖父は多くのメッセージを受け取っていて、明日の天気や風向きを知り、真っ暗な中でも進むべき“道”が見えていた」というようなことを書いておられる。

人工的な環境で生まれ、育ち、暮らしていて、本当の大自然の中に身を置いたことがない今の都市生活者には想像もつかない、自然の中で生きるすべを持っている人はホントに強いと思う。
ミクロの自然である微生物も、マクロの大自然も、すべての存在が関わり合って生きている。

人間は自らが築いてきた文明の力で生きていると錯覚しがちだけど、見えない存在も含め、いろんなものに生かされているんだよなぁ。

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