『帰郷』

自衛隊員は経験しているが、戦争は実体験としては知らない。Kikyoでも、戦争のときの話は年配者からたくさん聞いたという浅田次郎氏。
戦後70年を経て、実体験としての戦争を語れる人はどんどん少なくなってきている。
そしてこの国は、あの愚かな戦争を真摯に反省し、国際社会に向かって誓った“戦争放棄”という誠意を、放棄しようとしているように見える。
そんな中で、小説家としてできうる表現は何か。そんな思いで書かれたものなのではないだろうか。
「これは戦争小説ではなく反戦小説です」と述べておられる。
終わらざる夏』に続く、戦争というものがごく平凡な市民の、小さな幸せや平和な暮らしを奪い去る、理不尽さを描いた作品。
6作の独立した短編を編んだものだが、浅田氏ならではの、せつないけれど味わい深く、いろいろと考えさせられる佳作揃い。お勧めです。


『帰郷』
浅田次郎 著
2016年6月 初版発行
集英社 刊

続きを読む "『帰郷』"

| | コメント (0)

『登山外来へようこそ』

日本人初の国際山岳医である、大城和恵医師による本。
Tozan_gairai循環器内科医として活躍しながら趣味で登山を続けるうちに、「山での遭難者を助けたい」という思いがつのり、山岳医療の世界へ。
日本人として初めて「UIAA(国際山岳連盟)/ICAR(国際山岳救助協議会)/ISMM(国際登山医学会)認定国際山岳医」の資格を取得。
現在は、勤務先の心臓血管センター大野病院で「登山外来」を設置、北海道警察山岳遭難救助隊のアドバイザーも務めておられる。
そんな大城医師が書いた、登山者に役立つ医療知識を綴った一冊。
登山者として知っておくべき知識をわかりやすく解説。お勧めです。

『登山外来へようこそ』
大城 和恵 著
株式会社KADOKAWA(角川新書) 刊
2016年8月 初版発行

参考サイト:

続きを読む "『登山外来へようこそ』"

| | コメント (0)

『ザ、コラム』

2006年~2014年にかけて執筆された原稿の中から、書籍化のOdazima_the予定のないテキストをご本人が“サルベージ”してまとめた一冊。芸能ネタから政治まで、ありとあらゆる事象について書かれていて、あるときはシニカルに、ある項ではコミカルに、軽妙洒脱なコラム集。
この方の言葉遣いが面白くて好き。
ものの見方も、いろいろと参考になる。
ツイートがまた秀逸なのである。

『ザ、コラム』
小田嶋 隆 著
晶文社 刊
2016年10月 初版発行


面白かった部分をちょこっとだけ引用してみる。

続きを読む "『ザ、コラム』"

| | コメント (0)

『産業遺産JAPAN』

“廃墟マニア”として全国の廃墟を探索していた著者が、Sangyo_isanjそれらの朽ちてゆきつつある建物は、「産業遺産」「近代化遺産」とも言うべきもので、非常に価値の高いものも少なくないことを知った。そして、NPO法人「J-heritage」を立ち上げ、記録撮影を行ったり、保存・再生。活用について模索。7年間に渡って取材・撮影した内容を一冊の写真集としてまとめたもの。

『産業遺産JAPAN』
前畑洋平 著
2016年11月 初版発行
創元社 刊

北海道の奔別炭鉱と赤平炭鉱、秋田県の尾去沢鉱山、群馬県の富岡製糸場、横浜の根岸競馬場、群馬県の安中市と長野県の軽井沢を結ぶ難所・碓氷峠を越えていた「碓氷線」など、さまざまな“産業遺産”を詳しく紹介。
関西では、“マヤカン”こと、「摩耶観光ホテル」も。

続きを読む "『産業遺産JAPAN』"

| | コメント (0)

『PEAKS No.87』2017年2月号

『PEAKS』2月号が発売になってます。いまさらですが。Peaks201701
今号の特集は「山旅100ルート」と題し、“PEAKSが選ぶ2017年に歩きたいベスト・オブ・トレイル”。
高橋庄太郎さんが紹介する蔵王に始まり、アルプスの長期縦走や秘湯を訪ねる山旅、ロングトレイル、美味しいもの目当てのコース、ライトなバリエーションルートまで、さまざまな切り口で、いろいろな人がおススメを紹介してます。

★公式サイト…ココ!

極にゃみ的には、関西周辺の8コースを紹介。

続きを読む "『PEAKS No.87』2017年2月号"

| | コメント (0)

『熱狂なきファシズム-ニッポンの無関心を観察する』

観察映画”で知られる映画監督、想田和弘氏の著書で、Photoずっと読みたいと思いつつ、なかなか手をつけられなかった本をようやく読了。昨今の、奇妙なこの国のあり方…じわじわと、低温やけどのように民主主義が崩壊しつつある姿…を、冷徹に“観察”するように書かれた一冊。
極右としか思えない閣僚が何人もいること、ヘイトスピーチが公然とまかり通る、反知性主義の台頭…、どれも気味が悪すぎるのに、誰も気にしていないかのように見える。ファシズムは、気づいたときにいは手遅れ、というものだが、はて、この一見のどかに見える国はどうなっていくのか。
一読しておくべき一冊だと思う。政治家の国語力でんでん、ってな話ではないのだ。

『熱狂なきファシズム-ニッポンの無関心を観察する』
想田 和弘 著
河出書房新社 刊
2014年8月 初版発行

例によって少し抜粋。

続きを読む "『熱狂なきファシズム-ニッポンの無関心を観察する』"

| | コメント (0)

『終わらざる夏』

“玉音放送”によって終戦が告げられた後、北の孤島・占守島で起きたOwarazaru_ueOwarazaru_shi「知られざる戦い」を描いた作品。太平洋戦争末期の異常な国家総動員によって運命が変えられてしまった人々の姿を描く、壮大な群像劇。
戦争というものがひとりひとりの生身の人間にもたらす苦難、悲劇、不条理。作家はインタビューにこう答えている。
「すべての国民が、戦争を遂行するためのシステムに組み込まれてしまった。その意味でこの小説は自由を奪われたさまざまな人々の群像劇でもあるんですよ」
この国では、永久に放棄しているはずの「戦争」が、なんだか妙なリアリティを持って、きな臭いかおりを放ち始めている今。一読してみてほしい一冊。

『終わらざる夏』
浅田次郎 著
集英社 刊
2010年7月 初版発行
2013年7月 文庫版発行

★集英社『終わらざる夏』公式サイト…ココ!

続きを読む "『終わらざる夏』"

| | コメント (0)

『日本の大問題 現在をどう生きるか』

日本に健全な森をつくり直す委員会」事務局長の天野礼子さんが、Nihon_daimondai_2同会の委員長である養老孟司氏へのインタビューと、同委員である藻谷浩介氏を交えた対談(実際には天野氏を含めた鼎談という形で進行)をまとめた一冊。教育論から始まり、今のこの国の情勢や、日本人の生き方など、まさにタイトル通り「日本人の大問題」が語られている。

かなり長めのプロローグ「情報に頼らずに生きる —養老孟司の教育論」、第1章『現代はどのような時代か』、第2章『現代社会の行き着く先』、第3章『人はなぜ学べないのか』、第4章『「状況」に気をつけよ』、それぞれに面白かった。

『日本の大問題 現在をどう生きるか』
養老 孟司,藻谷 浩介 著
中央公論新社 刊
2016年7月 初版発行

例によって少し抜粋。

続きを読む "『日本の大問題 現在をどう生きるか』"

| | コメント (0)

『誰が平和を殺すのか (佐高信の緊急対論50選) 』

ジャーナリストの佐高 信氏が、ピーター・バラカン氏、Photo原田正純氏、纐纈あや氏、落合恵子氏、井上陽水氏、小室等氏、矢野顕子氏、李政美氏、湯浅誠氏など、多彩な人々と対談した内容をまとめた一冊。非常に読み応えがあって面白かった。今のこの国の不穏な流れを、きちんと見ている人たちが存在する。いろんな問題を内在したままの現状を語る人たちがいる。それは、かすかな希望である。

『誰が平和を殺すのか (佐高信の緊急対論50選) 』
佐高 信 著
七つ森書館 刊
2014年11月 初版発行

少し引用してみる。

続きを読む "『誰が平和を殺すのか (佐高信の緊急対論50選) 』"

| | コメント (0)

『だからこそ、自分にフェアでなければならない。 プロ登山家・竹内洋岳のルール』

世界に14座ある8000m峰すべてを登頂した人は、世界で31名だそう。
Dakaraそのうち、日本人はただ一人。「プロ登山家」を名乗る竹内洋岳氏だけである。
なぜ、彼はそれを達成できたのか。自身も登山を愛好する写真家・小林紀晴が天狗岳登山に同行したことと、インタビューの内容をまとめた一冊。

『だからこそ、自分にフェアでなければならない。 プロ登山家・竹内洋岳のルール』
小林 紀晴  著
幻冬舎 刊
2014年9月 初版発行

参考
★刊行記念対談…ココ!

かつて、わりとまじめな山ヤだった頃、竹内氏の個人ブログ「14Project」はけっこう好きでちょくちょく閲覧してたのだけど、いつの間にかなくなってた。FBに引っ越ししちゃったのかな。

それはさておき、例によってちょこっと抜粋。

続きを読む "『だからこそ、自分にフェアでなければならない。 プロ登山家・竹内洋岳のルール』"

| | コメント (0)

より以前の記事一覧